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元ひきこもり男の最近(仮)

オーナー どうでしょう
開設日 2014年10月18日
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「ひきこもりの方へ。あなたの部屋を見せてください。」

僕は渡辺篤といいます。美術家をしています。
まだまだ売れていませんが。
僕は以前、 ひきこもり をしていたことがあります。
まずその経緯を聞いてください。


当時、結婚を考えていた人との失恋、全力で望んでいた活動でのグループからの排除、10年近く患っていた鬱、美術家としての悩み、そんな事が重なり、6ヶ月間実家の自室でほぼ寝たきり生活をしながら引きこもっていたことがあります。
その間一度も靴を履かず、空の色も見ること無く。
誕生日も大晦日も一人でインターネットをしながら過ごしました。
僕のそれは、ある種の自暴自棄や自傷行為という意識でした。
それ以降の人生の可能性を捨てることは、血の流れない自殺ともいえると思っていました。人を恨み、社会を恨み、自分を傷つけることで、自分を傷つけた者たちへあてつけや復讐をする気分でした。
一方では、外部からたやすく助けだされたり、美味しいものが食べたいからと簡単に外に出てしまっては、その時点ごとに経過した、作り上げた負の時間を否定することになってしまいますし、既に後戻りできない状況だと思っていたので、より高いハードルを築くべく、一日一日とひきこもり時間を増やしていきました。
そうやって段々と社会から遠ざかっていきました。
過ぎた時間の他に、日々太っていく容姿や、発語を何ヶ月もしないがゆえの軽い言語障害、そして人に見せられるはずのない荒れた部屋。
引きこもりであることを隠し、自分と似た<ネト充>が多くいる「ニコ生」などのサイトで、匿名同士見知らぬ誰かとチャット交流し、その場しのぎの承認欲求を満たしていました。

僕は、ズルズルと引きこもりが長期化し、ある時から一生の覚悟を背負いはじめました。まったく介入してこない同居していた家族に怒りの矛先を向け始め、2・3度暴れたこともあります。
その時、父に警察を呼ばれました。母はほとんど声掛けをしてくれませんでしたが、あとから思うと、僕を無視をしていたわけではありません。
どうしていいかわからず手をこまねいていたし、ノイローゼのようになってしまっていたのです。

うちの父はコミュニケーション障害のような気質を持っています。
警察が来た時には、僕の年齢やどこの学校を出て何をしていたか、話せなかったそうです。
父はコミュニケーションの不器用さに自覚は無いし、他者の感情や意見を想定することも得意ではありません。
僕が幼い時には、しばしば父からの暴力もありました。
引きこもっていたある日、父が僕を精神病院に措置入院させようと考えていることを、扉の向こうの母から聞きました。
父は、子を守りたいというよりも自分の住むテリトリーから排除する意識が強かったようです。
そして母自身、父とのかねてからの不仲や、僕の深刻化する引きこもりによって、いよいよ共倒れしうる精神状態であることを告げてきました。

6ヶ月目に突然、想定しなかった<外圧>がやって来ました。
そしてその日の晩、僕は半年ぶりに部屋を出て新たに生きていくことを決めました。引きこもりは自分で選んだことだったけれど、父に自分のこの先を支配されたくなかったし、気づいたら自分よりも弱くなってしまっていた母を守らねば、という思いでした。
僕はもう、本当にたくさんの取り返せない時間を経てしまい、人生を<詰んで>しまったのだから二度と外に出ることはないと思っていました。なので部屋は荒れ放題で食べ物のカスや尿の入ったペットボトルも大量に散乱していたし、髪や髭は伸び放題でバターを塗られたようにべっとりとしていました。
コンタクトレンズも当然新たに注文出来ず、昔使っていた壊れたメガネを輪ゴムで止めて着けていました。

僕は部屋から出て、久しぶりに母とたくさん語り合った直後に、それまで過ごした部屋と自分の姿を、カメラと三脚で撮りました。
負の記憶ですから恥ずかしくて人に見せるものではないです、本来は。
でも、僕は美術を学んできた者でしたから、
<6ヶ月間かけてこの写真を撮るための役作りをしたのだ。撮影用の場作りをしたのだ>と認識の切り替えをしようと思ったのです。

今回、それらの写真を使用した展覧会を行います。
汚い部屋も汚い容姿もその後、生きていく上で別に大したことではないかもしれません。
汚いだけでは人は死にません。
むしろその、とらわれていた時間や姿を美術作品として観せます。

引きこもることが悪いとは思いません。引きこもりなんてすぐ辞めろ!とも思いません。
僕も一生の覚悟で、結果何ヶ月もやってましたから。
ただ、少なくとも汚く荒れた部屋や、人と会わずに醜くなった容姿も、自分が思うほど大したことではないです。
むしろ<汚部屋>としてのカルチャーからみたら、興味深いくらいです。
僕は当時の部屋を写真で公開します。
引きこもっている方、部屋の写真を撮影して画像を送ってくれませんか?当然汚くて結構です。
個人を特定できる雑貨などに関してはその部分をぼかします。
美術の展覧会で、僕の写真と同じくして、スライドショーで発表させてください。
展覧会場に<僕が引きこもる密閉されたコンクリート製の部屋>を作り、そこで展示します。


部屋画像の送り先:
nabekoten@gmail.com


※使用させていただく写真は渡辺が匿名性を守ります。

ボカシはご自分でされても結構ですし、指定して頂ければこちらでおこないます。
ご自分が写っていなくて結構です。部屋の様子だけを撮ってください。汚くていいですし、もちろん綺麗であっても構わないです。

自身のメールのメインアカウントから送る事に抵抗がある場合、お手数ですが副アカウントを作って送ってください。
引きこもりの定義や、引きこもった期間は問いません。

画像は今後、僕の美術展や出版物で使用させていただく可能性があることをご了承ください。
対話を欲する方、特記事項などがある方はその旨もお書きいただけたらと思います(必ず返信しますが、お時間掛かってしまう可能性もあります)。
受け取った画像は、こちらで公開/非公開を選ばせていただきます。

※12/7〜28に池尻大橋のNANJO HOUSEにて渡辺篤個展「止まった部屋 動き出した家」を開催。来場はご予約制。モチーフは自身の経験した「ひきこもり」そしてそれと同時期に起きた「津波」。是非ご予約お願い致します。
詳細はこちら→http://www.atsushi-watanabe.jp

どうぞよろしくお願いします。



__________________________


渡辺 篤 / WATANABE Atsushi (現代美術家)
《プロフィール》



…東京藝術大学在学中から自身の体験に基づく傷や囚われとの向き合いを根幹とし、かつ、社会批評性高き作品を発表してきた。
表現媒体は絵画を中心に、インスタレーション・写真・パフォーマンスなど。
テーマは、新興宗教/経済格差/ホームレス/アニマルライツ/ジェンダーなど多岐にわたる。
卒業後、路上生活や引きこもり経験を経て2013年春、活動を再開。以後精力的に発表を続けている。
…自身の制作活動以外では、美術家・会田誠の制作助手を2008年より務め、
2009年には共にMIZUMA&ONE GALLERY(中国 北京)にて長期滞在制作を行った。
2012年には森美術館会田誠個展「天才でごめんなさい」での制作協力。

《経歴》
• 1978年 神奈川県 横浜市 生まれ
• 2007年 東京芸術大学 美術学部 絵画科油画専攻 卒業
• 2009年 東京芸術大学大学院 美術研究科 絵画専攻(油画)修了
• 2010年 東京芸術大学大学院 美術研究科 研究生 修了
(2010年夏~引きこもる。
意図せずに2011年春部屋を出る。
2013年春、美術家として活動再開。)

《主な展覧会・活動》
• 2007 「KINCO」日本銀行本店地下金庫(東京 日本橋)
• 2008 「チバトリ」千葉市美術館(千葉市)
• 2009 「ASIA PANIC」光州ビエンナーレホール(韓国 光州)
• 2010 「宮下公園 アーティスト・イン・レジデンス」参加(宮下公園/東京 渋谷)
• 2013 「Who By Art Vol.2」西武渋谷店美術画廊(東京 渋谷)
• 2013 「アートフェア ウルトラ006」スパイラル(東京 青山)
• 2014 「Who By Art Vol.3」西武渋谷店美術画廊(東京 渋谷)
• 2014 個展「ヨセナベ展」Art Lab AKIBA(東京 秋葉原)

渡辺篤作品HP http://www.atsushi-watanabe.jp
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