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古ぼけた色のmakuさんのお部屋にて、クリーム色の絨毯くんは、 庭に飛び出て帰ってくる犬の最初の足ふきを請け負うおかげで、 いつしか庭の木の実の汁が染みて謎のアクセントがデザインされておる。 その絨毯の近くには犬用のクッションが二つ無造作に転がってて四角く畳んだ毛布まである。 なのに犬は本棚の下の特大の黄色いプラスチックバケツに入って眠るのが好きで、 それはきっとバケツの中にある高瀬川辺りに出かけて手に入れた身分不相応な へんてこ布が半分くらいまで詰まってて柔らかいからだろう。元気な犬っころはつんのめるような 走り方で部屋に入ってきては、makuさんの時間をわたしに分けろと訴える。そんな強引な交渉を おやつでもって和解に持ち込むご主人さまは、地方土産のクリームサンドクッキーみたいな 回転椅子に座ってモンパレで遊んでいる。モニターの下には手荒れ用のハンドベールと何処にも送らない 絵はがきと虫刺され用のウナクールがあって、お父さんからもらったしょうもないスピーカーもあるし、 USBの抜かれたマイクもある。つまりどこにも通じない声があって、独り言に対する違和感があって、 モダンな文化のつま先が廃れてきてる。