人生という冬のような灰色の海を、己という小さな、そして脆い船をもって征しようとする若人のために
私ができることはいったいなんなのだろうか。
熱く、ただ熱く燻り続ける心を抱えて私はこの場所に辿り着いた。
ここのぬくもりに旅に疲れ悴んだ指はしなやかになり、ずっと忘れていた春を
想い出させる清浄な、緑のにおいがする空気は淀んでいた私の瞳を静かに透かした。
私は堪らず声を発した。
「すいません！照英さんの本業はなんなんですか？」
すると、品の良い初老の男性は微笑んでこう答えたのだった。
「松田さん、佐々木くんはちゃんと処方している薬を飲んでるの？」
不意に私は涙を流した。悲しみによるものではない。しかし、喜びによるものでもない。 ただ漠然とした、そう例えば絶対的に尊い何かに触れたような、ただひたすらと漠然とした
に迫る感動によるものだった。
「佐々木くん、退院はもう少しかかるかな。松田さん、佐々木くんを病室に戻してー」




↓私を生温く見てくださっている方々↓
co86588　ねえさま
co71642　３２６さん　
co58532　プリンスさん　
co120032　三時さん　




※主のことはNIKU便器、肉子、雄狩る、佐々木、グズなど適当に呼んで下さい
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